椎名酒造店

 標高190メートルの地にある椎名酒造店は、背後の山に抱えられるように建つ酒蔵である。酒造りには敷地内から湧き出る澄んだ水が使われる。ここから300メートル北側には日立の名水「奥撫湧水」もある。
 取材は、十王川を挟んだ南側にある「たかはら自然塾」で昼食をしてからの午後となった。  
 ・所在 日立市十王町高原411
 ・取材 きららホームページの会(内藤・近野・菊池・宇梶)
 ・期日 令和6年3月6日(水)    屋外の写真は3月3日(日)

椎名酒造店全景
 椎名酒造店の背後は、山頂部に落葉樹そして裾野には水を好む杉が連立し、西側を流れる奥撫川には奥撫湧水や更に奥には鈴平名水の出る環境にある。さらに、この地が平地より朝夕の気温が低いことも酒造りの味方になっている。
椎名酒造店 門
 椎名酒造店の正面門、今年も新しい杉玉が飾られ、新酒の目印としている。写真は第1日曜日だったので、月に一度の休業日で門戸が閉まっている。
 日立へ赴任した会社員が料理店で知った椎名酒造店の酒・富久心(ふくごころ)を東京へ戻った今も、椎名酒造店に酒を求めに来ている。
もろみタンク
 酒を仕込むホーロータンクが並ぶ酒蔵である。椎名酒造店は、現在6代目で先代から自家杜氏により酒を造っている。昔は、南部杜氏に頼っていた。当家の杜氏技術は伝承を大事にしている。酒造りの水は軟水のため、米の発酵当初に必要なミネラルが少なく、その調整方法は杜氏家伝の一つになっている。
富久心
 椎名酒造店前の石垣塀に「蔵元直売」の看板がある。その蔵元直売の新酒が並ぶ棚である。大吟醸のラベルは書道家による手書き文字で、和紙の柔らかい引裂きも風情がある。荷札が付いた瓶は、茨城産の米ひたち錦とひたち酵母を使ったオール茨城産の純米酒である。また、酒粕で造る焼酎「富久心(ふくしん)」もある。この焼酎は終戦直後の食料不足の時、さつま芋で造ったことに始まる。

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