わたしたちの郷土 |
宇梶 秀夫 平成29年10月 |
昨年夏から日立市に伝わる民俗遺産「ささら」を当会で取材を始めた。市内には七カ所に「ささら」があり、いずれも江戸時代から伝わるという。「ささら」の舞手は小学生低学年と高学年から選ばれるが、ささら舞手に選ばれると自宅には注連縄が張られ神聖な雰囲気が保たれる。「ささら」の練習は、演舞時間が40分を超える演舞内容を覚え、体力を鍛えあげるために計画的に指導される。舞手の子ども達が熱心に最後まで練習に励めるのは、竹笛の演奏者らが演舞練習に毎回熱心につきあってくれることが、練習が持続できる要因の一つだと感じた。ささら舞手の家族は連日の練習に付き添い、さらに「ささら」舞を経験した先輩達が練習会場に来て指導してくれるのも頼もしい。 先日、多賀のNPO事務所で『わたしたちの郷土』という冊子があるのに気づき、ページをめくってみた。これは市内の小中学校生の夏休み中に行った自由研究の中から優秀作品を纏めたもので、昭和43年から続けられている。事務所に2冊あったうち1冊が偶然にも「ささら」に関わる研究が入っていた。第37回(平成17年)版の『わたしたちの郷土』に『守っていこう!ぼくたちの「ささら」』という作品があった。日立市の神峰神社は7年に一度例大祭があり、ここに「宮田ささら」、「助川ささら」、「会瀬ささら」の三つの「ささら」が参加する。水戸黄門の時代、仲がわるかった宮田村・助川村・会瀬村 の争いを水戸黄門が仲よくさせるため神峰神社をこれら三村の鎮守とし、大祭に三つの「ささら」を参加させたというようなことが書かれている。 『わたしたちの郷土』は現在、平成28年度の第48回まで発行されている。上記の第37回発行の他にも「ささら」に関する研究があるかと思い、図書館にある18冊を借りて見た。残念ながら「ささら」に関する研究は上記以外に見付からなかった。残りのバックナンバー30冊『わたしたちの郷土』も見てみたいが、日立市内図書館の蔵書になっていないので難しそうだ。 |