1999年 8月
田尻町 吉 田 稔
私は右ききであるが、自宅ではノートパソコンの左側に外付けしたマウス
を置いて、左手で操作している。
パソコンを新調したすぐ後に、内蔵のタッチパッドをしばらく使ってみた
が、いまひとつ調子が出ない。おまけで付いてきた純正マウスはコードが短
く、しかも差し込み口がパソコン本体の右側にしかない。そこでコードの長
いインテリマウスを別にあつらえて、頭書のような配置になった。
これは高校生の時に、式場隆三郎著「脳力集中法と休養法12講」(1950 白
揚社) を読んで、啓発を受けたことに始まる。式場精神病院長であった同氏
は「炎の画家ゴッホ」などの編著もあり絵画に造詣が深かった。
同書のある章で、脳力を集中活用するために身体を右左均等に発達させる
事が奨められていた。例として右手でデッサンをして左手で水彩の着色をす
る画家の話が紹介されていた。これに感化されて右ききでありながら成るべ
く左手を使う訓練を始めた。
左手での筆写は、他人に読んでもらえる文字の域にはとうとう達しなかっ
た。しかしながら左手でもかなりのことがこなせるようになった。トランシ
ーバ組み立てのアルバイトをした際、ねじ回しを使うのに、右手の勝手が悪
いとき左手で回せるのは便利であった。
近年になって、パソコンのマウスを使い始めてから数年経っていたが、思
いついて左手でマウスを動かしてみた。クリックもドラッグ&ドロップも案
外上手くいく。右手が空くので筆記具でメモをとることやキーボードの操作
が楽にできて便利である。
Windows では、左きき用にマウスの左右のボタン機能を入れ替えることが
できるが、適用しないで右きき用のままにしている。もちろん左手は、右手
ほど器用ではないから、イラストを描いたりするときには一寸苦労する。そ
んな場合には、右手が手伝っている。
このごろは左手でマウスを操作することにまったく違和感がなくなった。
高齢者は左手をよく使うとぼけにくいと、先日のテレビでも報道されて、我
が意を得た気分になった。
あなたもマウスを左手で、自在に操ってみませんか?
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