日立市下深萩町には約20軒のリンゴ園があります。棚倉道といわれる国道349号が谷あいを南北に走り、その東向きの傾斜地にリンゴ園群があり、国道349号に平行した市道は別名「日立中里フルーツ街道」と名付けています。道路沿いにそれぞれのリンゴ園で幟や看板を立て、リンゴ狩りや産地直売が利用しやすくなっています。今回、「森のリンゴ園」に伺い取材させてもらいました。取材日:平成29年11月17日、取材:内藤・大越・金谷・菊池・宇梶
「森のリンゴ園」は国道より高い標高にあります。リンゴ園から見る景色は、針葉樹の森の中に紅葉した落葉樹がパッチワークのように広がり、素晴らしい景色です。この静かな環境にリンゴ園があります。
現在、リンゴの種「ふじ」が最盛期です。摘み取りや販売でお忙しい中、リンゴ生産の1年間についてお聞きしました。12月で収穫が終わると、リンゴの木の下にある落ち葉を掻集め処分します。これは枯れ葉で冬越しする害虫を除去するためです。その後の冬の作業はリンゴの枝葉の剪定です。これは実をつける重要な作業だそうです。
 春に咲くリンゴの花は小枝の先に5個咲かせます。この枝先の中央の1個だけ花を残し、他の花は摘みとります。花の受粉にはミツバチが使われます。レンタルの養蜂箱を借ります。
リンゴ下には反射シートが敷かれています。反射シートは冬に取り外し、夏にまた張り直します。夏期のリンゴの木の消毒作業は、暑い中での作業になります。この作業はできるだけ早朝に行うそうです。森のリンゴ園のご夫婦は一年中毎日、リンゴの木に声をかけるように見回っているそうです。園内には、ペットボトルに仕掛けたトラップがつり下げられ、蜂や虫が捕獲されていました。
リンゴの木の小枝の先には花芽が既にできています。ここに1個だけのリンゴが実りますが、このための葉の数は30~40枚が必要だということです。大きくなったリンゴは、リンゴ自体に陽が当たるように、影をつくるような邪魔な葉を取り除き、リンゴそのものも捻り角度を変えています。
リンゴの栽培樹形に「マルバ」と「ワイカ」があります。「マルバ」はリンゴの台木に「マルバ台」を使った苗で、木が大きくなります。木と木の間隔が広くなり、作業も高い位置になります。
もう一つは「ワイカ」(矮化)という栽培方法です。リンゴの接ぎ木の台木に「マルバ台」以外の木を使うようです。樹間は狭くなりますが、作業がしやすいそうです。
リンゴの木の天辺に生ったリンゴです。毎日のリンゴの手入れの中で、身体を休める癒やしとして残されたようです。後日、枝ごと切って家に飾ろうかと話されていました。
リンゴ園では何種類ものリンゴを栽培しています。このリンゴは小さく商品にはなりませんが、この小さなリンゴの花がリンゴ園の開花には大切なのだそうです。
リンゴ栽培では虫が害になります。夜間に黄色の蛍光灯を点灯し、虫を誘って下にあるファンで吸い込みネットに虫類を捕獲します。写真右は、現在のリンゴの収穫状況を示すもので、どの種のリンゴが購入できるか参考になります。
「森のリンゴ園」で取材前にリンゴの試食をさせてもらいました。ご主人から一つ一つリンゴを大事に育てていると伺いました。「ふじ」のリンゴ、美味しかったです。右の写真は、生産者と取材者全員で一緒に撮った記念の写真です。ありがとうございました。
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