田尻の庚申信仰を紹介します

 民間信仰として行なわれてきたものに庚申(こうしん)信仰があります。庚申信仰とは、十干支の庚申(かのえさる)の晩に、人の体内に棲んでいる三 尸(さんし)といわれる虫が体内から抜け出し、天の神 (帝釈天) に、その人が60日間に行なった悪いことを告げに昇天するといいます。天の神は、その罪の大小によって命を縮めるとのことです。だから三尸が昇天しないよう講を組み、皆で眠らずに語り合い夜明かしをするというものです。この行いを庚申講あるいは庚申待ちともいわれます。いつしかこのような信仰は遠のき、農業の神・作神さまとしての信仰へと変わっていきました。

猿田彦大神  現在、日立市内で庚申講を行なっているところは数少なくなっていますが、田尻町では、田尻宿と田尻浜で、それぞれ講が続けられております。  庚申講主尊として青面金剛(しょうめんこんごう)猿田彦大神が祀られていますが、田尻宿の庚申講は14軒で猿田彦大神を主尊として行なわれています。このような庚申講は神道庚申講といわれます。猿田彦は天孫降臨の際、天孫一行を途中で出迎え道案内した神として知られております。上の代という所に石塔が建立されております。

庚申石塔群  田尻浜庚申講中は20軒ほどで行なわれております。田尻小学校 南側山林に度志観音がありますが、その参道入り口に「庚申」や「庚申塚」名の石塔を建立、祀っています。 「猿田彦大神」の毛筆掛け軸と青面金剛が描かれた掛け軸が 当番宿で行なわれる講時に掛けられます。

度志観音の青面金剛  田尻宿庚申講は庚申の日に関係なく年1回、12月中旬。田尻浜庚申講はやはり庚申の日に関係なく 旧正月元旦に行なわれております。
 度志観音に青面金剛の石像があります。田尻の庚申講中の建立ではないようですが、参考までに添付します。


2009年6月15日     大森政美


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