滑川八景

1.北釜の夕照


    北釜に 汐くむ海女の かげ消えて
           松の梢に のこる夕映え

 北釜は北川が滑川浜に注ぐ近くの一角をいいます。 滑川村の製塩は天保はじめ頃より揚浜法によって 行われた事が資料に書かれており、このあたりには かなり多くの塩たき釜場があったといわれます。
「 塩たく煙が高鈴の夕日に映え、海辺の松の梢を わたっているが、夕餉の支度に帰宅したのか、 汐を汲んでいた海女の人影はもう見えない。」 という情景が目に浮かぶ美しい句です。
今はバイパス道路が走っていて、海岸の景色は大きく 姿を変えてしまいました。



2.田島の秋月


    うき雲の はれてうれしく 見ゆるかな
           田島の里の 秋の夜の月

 田島は滑川中学校の南にあたり、6号国道の 東側に面して、昔は一面の水田地帯だったと いわれます。
「仲秋の名月、近くの太平洋が金波・銀波に 輝く頃、頭を垂れた黄金の稲穂がゆらゆらと 揺れている。鎮守の森からか、秋祭りの稽古で あろう笛や太鼓の音が聞こえてくる。 さあ明日もがんばろう、と人々は月に誓った事 であろう。」 という情景が見えるようです。
今は家々が建ち並び、国道を走る車の灯が 絶える事はなく、月を見上げる余裕は少なく なりました。

小幡の落雁



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